広告や営業資料などで短尺ながら高品質な動画を用意する需要が高まる一方、従来の撮影・編集体制では制作コストとリードタイムが拡大しやすい状況が課題となっています。Runwayはテキストや静止画を入力するだけで数十秒〜数分で映像クリップを生成できるクラウドサービスを提供し、この課題を解決する選択肢として注目されています。
本記事では、Runwayの概要、主要機能、料金体系、導入事例を整理し、導入検討を支援します。
目次
Runwayとは?
Runway(Runway AI, Inc.)は2018年創業の生成AI企業で、映像・画像・音声を横断するマルチモーダル生成モデル「Genシリーズ」を開発・提供 しています。公式サイトでは「世界をシミュレートする汎用マルチモーダルAIモデルとツールを構築する」と掲げており、2025年3月には最新モデルGen‑4を公開しました。同社のツールはブラウザ上で動作し、アカウント登録だけで利用を開始できます。
近年Runwayが高い人気を得ている主な要因としては、ブラウザ完結型のUIによる低い導入ハードル、Genシリーズをはじめとする大規模モデルの高速なアップデートサイクル、そしてAPIやSSO対応を含む企業向け機能の充実が挙げられます。これにより映像制作経験のない担当者でも短時間でアイデアを映像化でき、業務現場で即戦力となる点が評価されています。
主要機能
Runwayが提供する代表的なAI機能と、それぞれがもたらす業務効率化・表現力向上のポイントを概観します。
映像生成 (Gen‑4:テキスト/画像/動画入力)
Gen‑4を用いた映像生成は、テキストプロンプトだけでなく静止画や短尺動画を入力に指定でき、数秒〜10秒程度の高品質クリップを自動生成します。 リファレンス画像を与えればキャラクターや背景が複数シーンで一貫し、既存の写真やCGを動かす「Image/Video to Video」では製品写真の360°回転やラフCGの実写化など既存素材の拡張も可能です。

【生成例】
 ### 画像生成 (Gen‑4 Images:Text to Image/Image to Image)Gen‑4 Imagesはテキスト説明から写真風・イラスト風など多様な静止画を出力し、既存画像のスタイル変換やアップスケールにも対応 します。ブランド固有のビジュアルを再現したい場合はCustom Stylesで独自モデルを訓練でき、マーケティング素材やWebバナーの内製スピードを高めます。

【生成例】

Runway公式UIでは、Custom Stylesに登録したブランド写真を呼び出し、参照画像とテキストを組み合わせて色味やライティングを段階的に調整する様子が紹介されています。
パフォーマンスキャプチャ Act‑Two (2025年7月公開)
Act-Twoは、俳優の演技映像をもとに、顔や手指の動きを含むパフォーマンスを別のキャラクターへ転写する技術です。映像はあらかじめ用意する必要はなく、その場で撮影した動画も利用できるため、手間のかかるモーションキャプチャの工程を省略できます。
以下は公式が公開しているAct-Twoの紹介動画になります。
引用: https://youtu.be/JW8PHlFD7HM
音声合成・リップシンク
テキストを入力すると50文字あたり1クレジットでナレーションを生成でき、Proプラン以上ではカスタムボイスの登録も可能 です。生成音声に合わせて人物の口の動きを自動調整するリップシンク機能も備えます。

【生成例】
ライブラリから任意の画像と声質を選択し、セリフを入力します。すると数秒でセリフ付の音声動画が完成します。

料金プランと利用制限
以下は年払い時の月額と主要比較軸です(2025年7月時点)。
| プラン | 月額 (USD/ユーザー) | 月間クレジット | ユーザー上限 | ウォーターマーク |
|---|---|---|---|---|
| Free | 0 | 125(初回のみ) | 1 | あり |
| Standard | 12 | 625 | 5 | なし |
| Pro | 28 | 2,250 | 10 | なし |
| Unlimited | 76 | 2,250+Explore無制限 | 10 | なし |
| Enterprise | 問合せ | カスタム | カスタム | なし |
Standard以上でGen‑4動画生成やAct‑Twoが解放され、Unlimitedでは低優先度モードで無制限に生成できます。
Act‑Twoの利用ステップ
以下では 2025年7月に公開されたばかりのAct‑Two機能 を例に、アカウント作成から生成・書き出しまでの具体的な手順を説明します。
アカウント登録
公式サイトでメールアドレスを登録し、確認メールのリンクをクリックするとRunwayのダッシュボードにアクセスできます。初回ログイン時点でFreeプランの125クレジットが付与されます。
Act-Two
ダッシュボード左側の「Create」以下にある「Generate Video」を選択します。画面左下にある「Act‑Two」を選び、動きの動画とCharacterの画像または動画をアップロードします。

動きの動画は、案内に従ってブラウザ上で10〜30秒の演技映像を撮影するか、既存のMP4ファイルをアップロードします。次に、演技を転写したいキャラクターの顔画像をドラッグ&ドロップで読み込み、プレビュー画面でトラッキング枠が正しく顔を捉えていることを確認します。右側パネルでクリップ長、解像度、出力形式を設定し、表示されるクレジット消費量を確認したうえで「Generate」を押します。

数十秒後に生成プレビューが表示され、演技と表情が意図どおりに反映されていれば「Export」ボタンからMP4をダウンロードし、Runwayエディターに送ってカラー調整やテロップ挿入を行います。必要に応じてキャラクター画像や演技映像を差し替えて再生成し、納得いくまで反復できます。
Xに投稿されている具体的な活用シーン
Runwayは映像業界以外でも導入が進んでおり、Xの投稿次のような活用が確認されています。
【VFXワークフローでの環境生成】
Runway Gen-4 ReferencesをVFXワークフローに活用し、既存映像の環境を新規作成する方法を紹介。動画付きで伝統的なVFXツールとの統合を示し、クリエイターの生産性を劇的に向上させる凄さを強調。
【UGC製品スワップの効率化プロセス】
Runway Referencesを使ってUGC(ユーザー生成コンテンツ)で製品をスワップするプロセスを紹介。iPhone自撮りと製品写真を組み合わせる具体的な手順とプロンプト例(“ugc style photo of the exact person in (IMG1)…”)を共有。
【スケッチから画像・動画へ変換】
Runwayでスケッチから画像、動画へ変換する機能の活用例。プロンプトほとんど不要で方向制御が可能と説明し、クリエイティブなアイデア実現の容易さをデモ。画像・動画付きで実用性が分かる。
これらの事例は、 制作時間短縮 と コスト削減 に加えて、社内で即座にビジュアル試作できる俊敏性が評価されています。
導入前に確認すべきポイント
Runwayを導入する前に留意したいポイントを挙げます。
-
生成時間とクレジット消費のバランス Gen‑4は1秒あたり12クレジットを消費するため、試行錯誤が多いと消費が早くなります。
-
クリップ長の制限 1回の生成は通常5〜10秒で、長尺動画は複数クリップを連結して制作する必要があります。
-
Freeプランの透かし 無料プランの出力にはRunwayロゴが入り、商用利用にはStandard以上が必須です。
これらを踏まえ、必要なクレジット量やワークフローを事前に設計することが重要です。
まとめ
RunwayはGen‑4を中心に、動画・画像・音声を統合した生成AIプラットフォームとして進化を続けています。AMC NetworksやLionsgateの事例が示すように、 制作スピードとコストの双方を最適化 しつつ、これまで難しかった映像表現にも挑戦できる点が大きな魅力です。まずはFreeプランで操作感を確かめ、プロジェクト規模や生成量に応じてStandard以上へ段階的に移行することで、導入効果を最大化できるでしょう。