音声ワークフローは「読み上げ」「文字起こし」「ダビング」「整音」「配信」に分散しがちですが、ElevenLabsはそれらを単一プラットフォームで統合できます。
生成(TTS/Music/SFX)→ 変換・整音(Scribe/Voice Changer/Isolator)→ 制作・配信(Studio/Dubbing/Audio Native)をAPI/SDKで組み合わせ、自社の既存システムへ段階導入する設計が現実的です。
本記事では、この全体像を踏まえ、“どの機能をどの順で使うか”の判断材料に絞って整理します。
目次
ElevenLabsの全体像

ElevenLabsは音声を「 作る(TTS/Music/SFX)」「 直す(Scribe/Voice Changer/Isolator)」「 配る(Studio/Dubbing/Audio Native)」の3レイヤで提供します。
以下の表は用途別の”最初に見るべき機能”を示したものです。
| やりたいこと | まず見る機能 | 判断の軸 |
|---|---|---|
| 文章を自然な音声で読み上げたい | TTS(モデル選択) | 表現力/長尺安定/低遅延のどれを優先するか |
| Web記事に音声版を追加したい | Audio Native | 埋め込みの容易さ/分析の要否 |
| 動画を多言語化したい | Dubbing/Dubbing Studio | 対応言語/台本・タイミング編集 |
| 録音のノイズやBGMを抑えたい | Voice Isolator | 仕上がり品質/API要否 |
| 既存音声を別の声質に変えたい | Voice Changer | 声質の合致度/処理速度 |
| BGMや効果音を用意したい | Eleven Music/Text to SFX | 曲調・尺・商用ライセンス |
| 電話やWebで”話して動く”対話を作りたい | Agents | 低遅延/電話連携/RAG・API実行 |
上記の表をもとに、モデル比較や操作については各記事にまとめていますので、ぜひご参照ください。
- 音楽・効果音の生成(Music/SFX) 音楽生成AI「ElevenMusic」の主な機能とプラン別制限を詳しく解説
- 音声合成・整音・ダビング(Voice AI/TTSほか) ElevenLabsのAI音声生成サービス「ElevenLabs Voice AI」とは?特徴・料金・活用ガイド
TTSモデル選定の指針
同じTTS(Text-to-Speech)でも、目指す体験により最適なモデルは異なります。
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表現力重視(物語・演技・非言語表現)なら v3系。
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長尺の安定(書籍・解説)なら Multilingual v2系。
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即時応答(対話・電話)なら Flash系。
最終的にはサンプル合成→試聴→微調整を短いサイクルで回し、要件(言語・レイテンシ・音質)に収束させます。
料金設計の要点
価格表を見る前に、必要な量と条件をはっきりさせておくことで、最適なプランをスムーズに見つけられます。
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分の見積もり TTSの合成分/ダビングの総尺/将来のAgents通話分を月次で算出する。
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席とロール 共同編集の人数、Studioや管理画面に同時に入る想定を決める。
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音質要件 APIでPCM出力が要るか(Pro以上で検討)を事前に確定する。
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ライセンス条件 Freeは帰属必須・商用不可。商用はStarter以上を選ぶ。
この4点を固めると、後からのプラン変更やコスト超過を抑えやすくなります。以下は、2025年9月時点での料金情報になります。最新情報は 公式ページ で確認してください。
| プラン名 | 月額料金(USD) | 月間クレジット/TTS含む分(高品質TTS 分数) | 対応Audios(Agents/会話AI 分数) | 主な特徴・制約 |
|---|---|---|---|---|
| Free | $0 | 10k クレジット/約10 分 | 約15 分 | 無償、商用非対応、基本機能(TTS/STT/Agents等)利用可 |
| Starter | $5 | 30k クレジット/約30 分 | 約50 分 | 商用ライセンス、Instant Voice Cloning、Dubbing Studio等追加 |
| Creator | $22(ボーナス初月$11)* | 100k クレジット/約100 分 | 約250 分 | プロ級Voice Cloning、高音質192 kbps、超過分は従量課金可能 |
| Pro | $99 | 500k クレジット/約500 分 | 約1,100 分 | API出力44.1 kHz PCM対応、Studio&API併用可能 |
| Scale | $330 | 2M クレジット/約2,000 分 | 約3,600 分 | 3席分のMulti-seat、拡張ワークスペース |
| Business | $1,320 | 11M クレジット/約11,000 分 | 約13,750 分 | 5席、低遅延TTS(@5¢/分)、3 プロVoice Clone、優先サポートなど |
| Enterprise | カスタム | カスタム量 | カスタム | SLA・DPA・BAA対応、SSO、同時実行制限拡張などエンタープライズ対応 |
導入ステップの標準パターン
実案件では、次のようなパターンに当てはめると設計がスムーズです。
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CMS連携 記事公開時にTTSを自動生成し、 Audio Native でプレイヤーを埋め込む。編集後の再合成もフックで自動化すると運用負荷が安定します。
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動画ローカライズ 収録原版を Dubbing Studio で管理し、言語ごとに台本とタイミングを調整。サムネ・字幕・説明文の連動までをテンプレ化します。
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編集パイプライン 長尺は Studio で原稿→割当→微修正→SFXの順に整え、最終マスターを書き出す。レビュー差し戻しを短い粒度で回せる設計が要点です。
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サポート導線 将来的に Agents へ拡張する前提で、よくある質問や手続きの台本はテキスト化しておき、ナレッジ更新の運用をルーチン化します。
導入時は最もインパクトのある1パスに絞り、成功パターンが固まってから周辺工程を自動化すると安定します。
ガバナンスと法的留意
実際にサービスを動かすときには、技術だけでなく「どんなルールで運用するか」が成果やリスクを大きく左右します。たとえばボイスクローンを使う場合は、声の持ち主からきちんと同意を得ることが大前提です。そのうえで、どんな声を共有できるのか、帰属表示が必要かどうかをあらかじめ決めておくと安心です。
また、データの扱いについても整理しておきましょう。 契約に応じてDPAやSLA、データの保管場所を確認し、どのくらい保存するのか、再学習に使えるのかといったルールを運用規程にまとめておく と迷いが減ります。音源やBGMについても、MusicやSFXの 商用利用条件はケースによって違う ので、公開前に必ず確認しておくのがおすすめです。
さらに、生成した音声の出所を分かるようにしておいたり、検知ツールを活用したり、問い合わせに使える定型文を用意しておくと、利用者への説明もしやすくなります。
こうした観点を一通りチェックリストにしておけば、公開前の最終確認に役立ち、トラブルの予防にもつながります。
まとめ
ElevenLabsは、 作る・直す・配る を単一基盤で扱える点に強みがあります。判断は「どの体験を目指すか」から逆算し、TTSのモデル選定、配信の設計、翻訳や整音の要否を順に確定すると迷いません。数分の試作で音質と尺のコスト感を掴み、Web配信や動画展開へ段階的に広げていくのが現実的です。